哲学とテクノロジーをめぐる対話 V(2022年1月19日)アンナ・ロンゴ:予測的テクノロジー対予言的テクネー

セミナー(2022年1月19日)アンナ・ロンゴ:予測的テクノロジー対予言的テクネー

哲学とテクノロジーをめぐる対話

リサーチセミナー 第5回

 

アンナ・ロンゴ:予測的テクノロジー対予言的テクネー

ユク・ホイとの対話

2022年1月19日(水)

13:00-15:00 CET / 20:00-22:00 HKT / 21:00-23:00 JST

オンラインイベント:Zoom にて、登録・参加ください

Facebook のイベントページ:https://www.facebook.com/events/567546601175751/

イベントは英語で行なわれます。

 

「哲学と技術をめぐる対話」のセミナー第5回は、アンナ・ロンゴ氏に「予測的テクノロジー対予言的テクネー」というテーマで講演していただきます。講演のあとにはユク・ホイとの対話を行ないます。

 

【本講演について】

ハイデガーは、テクノロジーの本質は、ひとつの開示様式としての私たちの運命にあると主張している。とすれば、科学的な知識はテクノロジーの発展の原因ではなく、むしろ存在者が技術による挑発を行なった結果となる。そして科学の仮説とは、単なる未来の出来事の予想ではなく、実験のための環境にもとづいたものだ。この環境においては、自然のシステムが予測可能な挙動をするよう技術的に抑制し、望まれた結果を得るためにそれを効率よく利用しうるのである。論理経験主義は、科学的な仮説の真実性は前提(予測)と結果(証拠)のあいだの論理的な含意に依拠しているという仮定のもと、上記の点をあきらかにしてきた。私たちは、観察された規則の永続性を期待すべきなのはなぜかと(いう形而上学的な問いを)たずねるよりも、むしろ頻繁に採り入れられ、科学的な用語や概念の使用にも影響をおよぼしているさまざまな実践によって知識を基礎づけなければならないのだ。こうした行為によって、AIを帰納的推論の真理値を自動計算するものへと発展させる可能性が開かれるのである(ちなみにはじめてこれを行なったのは、博士課程でルドルフ・カルナップの指導を受けたレイ・ソロモノフだった)。

ハイデガーとカルナップの論争を考えてみると、明らかなことは、カルナップのねらいが、受け入れ可能な知識の分野からあらゆる空虚な概念の形而上学的使用を排除することであるのに対し、ハイデガーは、そうした排除はテクノロジーによって露呈された極度の危険——つまりテクノロジーがもつ開示様式の絶対化——なのだと非難しているということだ。この絶対化の危険な帰結は、人間が搾取可能な資源に還元されることにとどまらない。より根本的には、それは「本質」ないし運命としての真理へ到達する能力とみなされる自由を放棄することでもある。

ハイデガーがポイエーシス〔poiesis〕のことを、理性にとって受け入れ不可能な真理——つまり形而上学的な運命としての「本質」もしくは実在——を探求する特殊な方法とみなしたのはなぜか。今回の講演ではこの問題について検討する。そのなかで私は、テクノロジーによる集立の絶対化に抵抗せよというハイデガーの提案を十分に理解するためには、アレクサンダー・バウムガルテンの美学を考慮する必要があると述べようと思う。それによって、いかにテクネー——芸術的実践ないしポイエーシス——が、いまもなお、私たちがAIの自律的進化のための単なる情報資源に還元されてしまう危険性から救い出してくれるのかを示せるだろう。そして私は、いかにして、美学的知識とは科学的に受け入れ可能なすべての起こりうる予測を免れた、私たちの運命を予言することにあるといえるのかを明らかにしたい。

 

アンナ・ロンゴは哲学者。パンテオン・ソルボンヌ大学にて博士号を取得。国際哲学コレージュのプログラム「時間のテクノロジー」を統括し、パリ第一大学およびカリフォルニア芸術大学でも教鞭をとる。世界各国の学術会議に基調講演者として招待されているほか、査読雑誌や国際的なアンソロジーに寄稿しつづけている。近刊の“The Game of Induction: Automatic knowledge production and philosophical reflection” では、アルゴリズム的学習や現代的なAIのパラダイムを構成しているゲーム理論的な知識の概念に対する漸進的な肯定を探求すると同時に、そこには還元できず、独自の真理の地平において作動するような一種の知識として美学を考えることを提唱している。

 

【この連続セミナーについて】

「哲学と技術をめぐる対話」は、香港城市大学の支援および「哲学と技術のリサーチネットワーク」の協力のもと、「宇宙技芸的/批評的AI (Cosmotechnics/Critical AI)の研究プロジェクト」によってはじまった連続セミナーです。2021年秋季・2022年春季より、技術哲学の主要な学者による講演やワークショップを行ない、こんにちの哲学やテクノロジーにかんする喫緊の問題を解決することをめざします。

今後は、ヘニング・シュミットゲン(2月22日)、アンドリュー・フィーンバーグ(3月16日)、ルチアーナ・パリージ(4月20日)、カール・ミッチャム(5月25日)などとのセミナーを開催予定です。今後のイベントを見逃さないためにも、私たちの Facebook ページのフォローやニュースレターの登録をお願いします。また Youtube の公式アカウントでは、過去のセミナーのアーカイブを公開しています。こちらもぜひご覧ください。

 

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