レクチャー(2019年11月29日、ロッテルダム):エラスムス・ロッテルダム大学でのユク・ホイの哲学講義——有機性のあとで

11月 16, 2019

11月29日、ユク・ホイがエラスムス・ロッテルダム大学にて哲学のレクチャーを行ないます。タイトルは「有機性のあとで」です。

日時:2019年11月29日(金)、10:00〜12:30

場所:エラスムス・ロッテルダム大学 G棟2-46

 

概要

今回私が話すのは以下のようなことだ。カントは『判断力批判』のなかで、哲学的思考の有機的な条件を強調したのだが、この条件は生物学の台頭や、機械論への対抗理論の出現といった特定の歴史的かつ哲学的な背景から生じたものだ。この有機的思考は、産業革命と並行するかたちで、ポストカント派の哲学者らの手によってさらなる発展を遂げただけでなく、20世紀初期のさまざまな学派によって論じなおされることとなった。その最たるものがアルフレッド・ノース・ホワイトヘッドの有機体の哲学である。私の考えでは、サイバネティクスおよび近代的なコンピュータ理論以降、この哲学的思考の有機的な条件は終わりを迎えたのである。これはハイデガーが哲学の終焉と見なしたことでもあった。私たちは、これを受けて哲学的思考の新たな条件を明らかにしなくてはならないだろう。

 

プロフィール

香港大学でコンピュータ工学を、ロンドン大学ゴールドスミス・カレッジで哲学を、とりわけ技術の哲学を学ぶ。現在バウハウス大学ヴァイマルで教鞭を執る。2012年から2018年にかけて、ロイファナ大学リューネブルクの哲学芸術研究所(IPK)およびデジタルメディアの文化美学研究所で哲学を指導し、ハビリタツィオン(教授資格)のための論文を執筆。そのほか、中国美術学院の客員教授をつとめ、毎年春にベルナール・スティグレール とともに修士課程の大学院生向けの講義を行なう。2019年より香港都市大学客員准教授。哲学や技術の分野での研究や協力を促進する国際的なネットワークである「哲学と技術のリサーチネットワーク」を発起する。編著書に『30年後の「非物質」展——アート・サイエンス・セオリー』(メゾン・プレス、2015年、共編)、『デジタルオブジェクトの存在について』(ミネソタ大学出版社、2016年)、『中国における技術への問い——宇宙技芸試論』(アーバノミック、2016年)、『再帰性と偶然性』(ローマン&リトルフィールド・インターナショナル、2019年)。著書は十以上もの言語に翻訳されている。

 

詳細は:https://www.eur.nl/en/esphil/events/erasmus-philosophy-lecture-after-organic-2019-11-29

前の投稿

哲学と世界を変えるには――石田英敬 × ユク・ホイ × 東浩紀イベントレポート

次の投稿

出版: 西田、川端、そして近代への日本の反応アンドリュー・フェンバーグ著

Go toTop