セミナー(2021年11月24日)ジャン゠ユーグ・バルテルミー「哲学的相対性にむけて」
ジャン゠ユーグ・バルテルミー
哲学的相対性にむけて
ユク・ホイとの対話
2021年11月24日(水)
13:00 CET / 20:00 HKT / 21:00 JST
オンラインイベント:Zoom [https://bit.ly/3GnVV1Y] にて、登録・参加ください
Facebook のイベントページ:https://fb.me/e/2NwKhPQE3
イベントは英語で行なわれます。
【ジャン゠ユーグ・バルテルミーのコメント】
私はジルベール・シモンドンの哲学的な学説を「起源的百科全書主義」と呼んでいる。というのも、シモンドンは『形式と情報の概念に照らした個体化』と『技術的対象の存在様態について』というふたつの博士論文をその学説のなかで統合しており、それはまた、死後に刊行されたかれの講義とは違いをもつからである。このふたつの論文の統合という問題は、シモンドンの思考の注解を明確に記述するという私の初期の仕事のなかで生じたいくつもの問いのひとつだった。私は、こうした注解を中心とする仕事によって、かれの思想のつよみや妥当性を余すところなく示せたと確信している。とはいえ、その仕事はじつはつねにポスト-シモンドン的なものへと向かっていたのだ。さらにいうと、私が博士論文を書くまえから、こうした努力はすでに、新しいグローバルなシステムのなかでシモンドンの存在論を「全面的に再構築する」という未来のプロジェクトに導かれていたといえる。ポスト-ウィトゲンシュタイン的かつポスト-ハイデガー的な「哲学的意味論」の問題系を最初に抱えることになったそのシステムは、「哲学的相対性」と名づけられるだろう。このあらたな理論的背景のなかでは、存在論は二次的な問題系となり、もはやシモンドンが言ったような「第一哲学」ではなくなってしまう。
この新しいグローバルシステムの特性は、知の体系そのものを構成しないことにある。というのも、システムのグローバル性は、意味の回折〔diffraction 波動が障害物の後ろに回り込んで伝播する現象〕の帰結であって、いわば知に伴う伝統的な意味の客体化や、相対主義そのもの———それが哲学的に思考する個体が行なう意味の客体化に含まれる限りで——への矯正法であるからだ。そしてこれこそが、「起源的百科全書主義」そのものに対する内在的批判がもたらす結果なのである。
ジャン゠ユーグ・バルテルミーは、哲学者、パリ・ナンテール大学研究員。2009年から2015年にわたり「Cahiers Simondon」誌を編集、2014年から2019年にかけてシモンドン研究国際センターの運営を行なう。著書に Life and Technology: An Inquiry Into and Beyond Simondon (Meson Press, 2015) や、その他ジルベール・シモンドンの思想にかんする単著(2005; 2008; 2014)があり、近著に、グローバルな哲学の再構築を行なった最初の著作 La Société de l’invention: Pour une architectonique philosophique de l’âge écologique (Paris: Éditions Matériologiques, 2018) や Ego Alter: Dialogues pour l’avenir de la Terre (Paris: Éditions Matériologiques, 2021) がある。新著 Manifeste pour l’écologie humaine (Actes Sud, 2022) を刊行予定。なお、ジャン゠ユーグ・バルテルミーは、「哲学と技術のリサーチネットワーク」の学術委員のメンバーでもある。
この連続セミナーについて
「哲学と技術をめぐる対話」は、香港城市大学の支援および「哲学と技術のリサーチネットワーク」の協力のもと、「宇宙技芸的/批評的AI (Cosmotechnics/Critical AI)の研究プロジェクト」によってはじまった連続セミナーです。2021年秋季・2022年春季より、技術哲学の主要な学者による講演やワークショップを行ない、こんにちの哲学やテクノロジーにかんする喫緊の問題を解決することをめざします。今後のイベントとしては、ベルナール・スティグレールの音楽への愛にかんするスザンナ・リンドバーグの講演(2021年12月7日)を開催予定です。
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